限界ログ

ゲーム開発サークル「限界アポトーシス」の活動日誌

(過去ブログからの転載です。)

あけましておめでとうございます。

コミックマーケット95が終わり、ひと段落つきましたので、 やっとブログが書ける余裕が生まれました。

コミックマーケット95にて「おもらし勇者の大冒険」をリリースさせて頂きましたので、 今回はそれに関するお話を書かせて頂ければと思います。

自分がゲームを開発する際に、色々な人のブログを参考にさせて頂いたので、 自分の体験談も何かしら誰かの参考になれば良いな~と思います。

ゲーム本編のネタバレを含む可能性もあるので、 今後プレイする予定のある方はちょっとだけ、注意してください。


■概略

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 「おもらし勇者の大冒険」に関しては2017年9月に作成を開始しました。 主な目的としてまず、「一度ゲームを1本作ってサークルで頒布してみたい」というのがあり、 「どうせやるんだったらシステム部分を自分で作成し、今後もゲームを作りやすくする」という目標を定め コンセプトを「おもらし」に設定し、作成を開始しました。

「おもらし」に設定したのは、自分がかなり楽しんで作れる、という部分と、 それまでに「おもらし勇者シリーズ」に関しては既に2本ゲームを作成しており、 ある程度、ゲームが既になんとなく完成図が見えた、というのが大きかったです。

<1作目 お漏らし勇者の帰還(昔Twitterで公開)>

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(おもらしを我慢しながら魔王城から脱出するゲーム)

<2作目 お漏らし勇者の疾走(未公開)>

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(膀胱破壊石の呪いを受けた勇者が膀胱破壊石の欠片を集め世界を巡るゲーム)

■素材

 上記画像を見て頂くと分かるように、今回のおもらし勇者の大冒険は、2作目を発展させたゲームとなります。 樹下次郎さんが協力してくれるということになり、それならばイラストを見せたい、と重い、ゲーム画面を横にし、 キャラクターの表情が見えるようにしました。

 ゲームのイラスト素材に関しては大部分を樹下次郎さんに依頼させて頂きました。 その他の曲・ドット等、依頼素材についてに個人のやりとりが多く含まれるので割愛させて頂きますが、 それでも足りない素材等はUnityAssetStoreやフリー素材で主に購入およびお借り致しました。

UnityAssetStoreはだいたい500円~2000円くらいでエフェクトや背景などが購入でき、非常に便利でした。

(こんなの) https://assetstore.unity.com/packages/vfx/particles/cartoon-fx-pack-2-4274

https://assetstore.unity.com/packages/2d/environments/pixel-forest-parallax-bg-76557

 それでも総合してみると、結構開発費用はかかったな、という印象です。 Live2DとかIllustratorに関しても使用料かかりますしね……。 (細かい開発費用は伏せさせて頂きますが……。) ただ、UnityAssetStoreで購入した素材については、これから創るゲームでも使用できるので、 ある程度投資みたいなものなのかな、とは思って割り切りました。

 正直初めは自分で描けば良いや、と思っていた部分があったのですが、 自分の画力ではクオリティが担保できなかった・時間も無かったので、市販の素材を多く使用しました。 自分で勉強しながら作成していたら開発にもっと時間はかかっていたと思うので、 成功だったのかなと思います。

 開発当初は自分で作りたい!という気持ちが強かったんですが、 最終的に色々な人に色々なことをお願いさせて頂き、クオリティアップや、 自分が重要視していなかったけど、ここに力を入れるとグッと見た目が良くなる、 プレイしやすくなるな、と思うところが多かったです。 (バトル時の演出、タイトル画面の操作方法表示、ポスター等々)

■開発期間

 開発期間ですが、2017年9月~2018年12月なので、約1年4ヵ月となりました。 これが長いか短いかは分からんのですが、目安として記録しておきます。

 システムにかける時間が多すぎて、完成図、のようなものが示せるのが遅くなってしまいました。 (これはプレイヤーの方にも、依頼先の方にも。) また、ある程度システムが完成してから、それぞれの素材発注に移るべきだったと感じました。 完成していなくても、途中経過のスクリーンショットを見せるなど、工夫が必要だったと感じました。 (デザイナーさん・作曲家さんにある程度指針を示しておきたかった。

 また、これが一番大きかったんですが、個人での作成なので、 仕事が忙しくなってくると作業時間は減りますし、病気になると作業はできません。 そしてその間は何も進みませんし、久々に開発をやるとカンが失せていることが多いです。 それも踏まえて、しんどくても1日30分は作業時間を確保すべきだったと思いました。 (寝室にノートパソコンを置く、等やりようはあった。)

■システム

 元より自身のシステム部分のスキルアップと思い、作成したのもありますが、 基本的にシステムについては演出部分以外は自分で作成を行いました。 その結果、他とは違うな!って感じられるゲームができたかな?と思います。

 今後も作成する上では「既存のゲームと違うポイント」は一つは設定したいなと思います。

 また、自身でシステム構築を行ったため、UniRXやProCamera2D、Post Processing Stackなど、 現時点で自分が使用できてこなかったライブラリやUnityの機能を使用することができました。

これにより今後、実装を行う際にどのような機能を使用すれば、 システムの構築を上手く、短期間で行えるのかという目星ができたと思います。

ちなみに上記機能などに対する自分の評価は以下のようになります。

◎UniRX:演出付けを単純なスクリプトで実装できる、軽い、コードが見やすくなる。これのおかげで完成した。

〇ProCamera2D:演出付け(シェイク、ズーム等)に最適。ただし、おもらし勇者では完全に機能が使用できなかった。ただし、単純なコードである程度やりたい演出ができるため便利。

〇DoTween:Tween系の中ではかなり使用しやすい印象。OnCompleteや遷移時間、遷移場所などをかなり直感的なコードで入力できる。その分プリセットのアニメは弱い?(使ってないのでわかんないですが売りにしてない気がする

△PostProcessingStack:非常に手軽に高度な演出(ブラー等)が可能。ただし、演出の数に限りがあるため、これで劇的に変わる、というよりも最後の味付けに使用するというイメージだった。

×Cinemachine:かなり難しくとっかかりづらい印象。結局手を出したもののおもらし勇者ではうまく使えなかった。よりアニメや3Dに特化したプロダクト向け?ただ、Unity公式に2Dの仕様についての文書があるので、次回は初期実装から導入してみたい。

チュートリアル

 自身で作成したシステムであったため、よりチュートリアルについては丁寧に行うべきであったと思いました。 ゲームをプレイする人だけでなく、ゲームをあまりプレイしない人にも触ってもらって、 よくわからない点をもっと丁寧に収集しておけばよかったなと思います。

レベルデザイン

 レベルデザインは時間をかければかけられる部分ですが、もっとたくさんの人にプレイをしてもらい、 所感を貰って修正をする、という工程を長期間行いたかったです。 ただ、この時間や感覚については正しいという明確な目安が無いので、 ある程度作品を作り続け、作品をプレイし、感覚を磨いていく必要があるのかなと思いました。

ただ、今回のゲームのシステムが他のゲームと違うという特性を持っていたことを踏まえると、 より長期間のテストプレイは確保しておくべきだったと思います。

 開発初めの時点で人に頼ってしまうとコンセプトのブレなどが生じてしまうかもしれませんが、 ある程度、完成図が見えてからは色々な人に触ってもらい、意見を貰うのが 最終的なクオリティアップには必要だなと実感しました。 (洞窟物語も最終的なブラッシュアップにかけた時間がかなり長かったと聞きます) ただ、反省すべき点にもありますが、この時間は2週間~1か月は取りたかったなと思いました。

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 ゲーム、という中身が不明瞭な物のためにプレイ動画をアップすべきだったと思いました。 今回は樹下次郎さんのイラストが非常に魅力的だったため、手に取ってくれる方がいましたが、 ゲームの中身をしっかり開示することがプレイヤーに対してもより真摯であると思います。

おもらし勇者についても、今からでも自分なりに動画作成を行ってみようと思います。 (上記、周りに依頼をするという成功点からは外れていますが、どんな作業でも一度は自分でやらんとなとは思います。

■シナリオ

 丁度おもらし勇者の大冒険を開発し始めたあたり、 自分の身の回りにも、色々と考えなければならないことが起こりました。

その時に思ったことや、これからこうしていきたい、という気持ちを込めたのが今回のゲームのシナリオになります。

誰しも気づかないうちに我慢しながら生きていることはあると思いますが、 自分の人生だし、もっと気楽に自分を生きていければいいなあ、 ってバカバカしいゲームをプレイしながら、ちょっと思っていただければ、とても嬉しいです。

 漫画と違い、基本的に4行以内でセリフを抑えて次シーンに移らねばならないのは、習熟が必要な部位だと思いました。

以上、ざっくりとした所感となります。 自分で言うのもなんですが、自分の人生における大切なものが一つ増えたな、と思います。

 さて、次のゲームです。 漫画も描きたいな、と思ったけど、ゲーム作るのがとても楽しかったので、またやってみたい。

今2作で悩んでいて、SLGRPGを作りたいなと思っています。 ちょっとコンパクトめなものが作れたらなと計画しています。

まだ企画段階ではありますが、開発途中からブログにて公開していければと思いますので、 気が向いたときにでもチェックして頂けたら幸いです。